住み替え時にかかる税金すべてをチェック!税金を抑える特例も確認
2021.07.12
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の岩瀬です。
住宅の住み替えは不動産の所有権や売買契約の内容によりさまざまなパターンが存在しますが、自分たちが所有する住宅の売却や購入が絡んでくると、どうしても避けて通れないものがあります。
それは、「税金」です。
一度の契約で高額の金銭が動くことの多い不動産売買において、売却資金がせっかく入っても、高い税金に悩まされることも珍しくありません。
しかし、少しでも支払う税金は抑えたいものですよね。
住宅の住み替えに伴う不動産売買であれば、特例によってその税額を抑えられる可能性もあります。
今回は「住宅の住み替えに伴う税金の概要」と「税額を抑える控除や特例制度」について、ご紹介します。
住み替えにかかる税金は、売却時と購入時にそれぞれ必要
住宅の住み替えは「旧住宅の売却」「新住宅の購入」の2段階になります。
もちろん、賃貸から購入物件や、所有物件から賃貸への住み替えのパターンもあり、これらは賃貸分には税金は発生しません。
今回は税金のかかる売却や購入の部分について、必要な税金を確認してみましょう。
住宅の売却時にかかる税金
住宅の売却時にかかる税金は、以下の通りです。
- 印紙税…契約書を有効にするために納税するもの
- 登録免許税…抵当権を抹消するために支払うもの ※抵当権が設定されている場合
- 消費税…不動産会社への仲介手数料や司法書士に支払う手数料などにかかる
- 譲渡所得税…譲渡(売却)して得た利益(=所得)に対して課税されるもの
「印紙税」は契約を取り交わす際に用いられる「収入印紙」として納税するものです。
令和3年4月時点での税額は、以下のサイトも参考にしてくださいね。
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
不動産売却において、売主が負担する登録免許税は「抵当権抹消」という登記手続きに必要となる経費です。
その他に、住所変更時など、売主の名義上変更登記が必要になる場合もあります。
所有権移転登記に要する登録免許税は買主が支払うものとするのが一般的な売買契約になりますので、売主は支払う必要はありません。
また、個人で事業性を持たないマイホームを売却する場合は住宅や土地に消費税はかかりませんが、仲介を依頼する際の仲介手数料や司法書士に支払う手数料、融資手続きの手数料などには消費税がかかります。
ただし投資用のマンションはマイホームではない為、売却した場合は、原則通り建物に対しては消費税の課税対象となるので注意しましょう。
不動産売却時にもっとも重要な税金となるのが、「譲渡所得税」です。
売却で出た利益を「譲渡所得」、譲渡所得に対して特別控除等を差し引いたものを「課税譲渡所得」、課税譲渡所得にかかる税金を「譲渡所得税」と呼びます。
計算方法は以下のとおりです。
1)譲渡所得
譲渡所得=売却額 −(取得費+譲渡費用)
2)課税譲渡所得
課税譲渡所得 = 譲渡所得 − 特別控除
3)譲渡所得税
譲渡所得税額 = 課税譲渡所得 × 税率(所得税・住民税・復興特別所得税)
売却した金額全てに課税されるのではなく、経費や控除を考慮して課税されるのがポイントです。
住宅の購入時にかかる税金
住宅を購入するときに必要となる税金には次のようなものがあります。
- 印紙税…売却時と同様、契約の際にかかる税金
- 登録免許税…不動産登記を登録するために支払うもの
- 消費税…不動産会社から購入した場合、仲介手数料、司法書士に支払う手数料などにかかる
- 不動産取得税…住宅を取得したときにかかる税金
- 固定資産税…住宅資産に対する税金
- 都市計画税…住宅が建っている土地の開発・整備を目的として課税されるもの
契約時にかかる印紙税は基本的に利益を得る方が支払いますが、双方の契約内容によっては購入者が印紙税を負担することもあります。
登録免許税は土地や建物の所有権移転や所有権保存といった登記をするための税金です。
こちらは土地や建物の評価額によって支払いする税額が変わります。
住宅を購入するときも、個人間のみで取引が完結すれば消費税はかかりません。
しかし、不動産会社との取引であれば、売却時と同じく、仲介手数料、金融機関への手数料、司法書士への報酬などに対しては課税対象となります。
なお、翌年以降の支払時期に焦ることのないよう準備しておきたいのが「固定資産税」と「都市計画税」です。
不動産を所有している間は毎年課税される税金になります。
固定資産税は住宅にかかる税金ですので、同じ条件の住宅であれば税額は同じになります。
ですが、住宅が立地している市町村の開発・整備に活用されることを目的とした都市計画税は、その街によって税率が変わります。
住替えでかかる税金は特例を利用して抑えよう!
自身が所有していた住宅を売却し新たに住宅を購入する、もしくは別な住居に移り住むという住み替えの場合、利用できる特例制度があります。
各要件について確認し、該当する制度を使える場合は賢く節税しましょう。
譲渡益が出たときの特例3つ
■居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
マイホームを売ったときに、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例です。
居住用の住宅であることが前提となります。
ただし賃貸物件を手放したときや事業用の建物はこの特例には該当しません。
3,000万円を超えた譲渡益があれば、そこに課税されます。
■10年超所有軽減税率の特例
売却した自宅や土地の所有期間が10年以上で、条件をクリアできていれば税率が軽くなるという特例で、3,000万円の特別控除の特例と併用可能です。
軽減税率は、6,000万円以下の場合は課税長期譲渡所得金額✕10%、6,000万円超の場合は(課税長期譲渡所得金額-6,000万円)×15%+600万円となります。
課税長期譲渡所得金額は(土地建物を売った収入金額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除で計算します。
No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁
■特定居住用財産の買換え特例
こちらは、2021年12月31日までに住み替えを目的とした売却が行われた場合に適用されます。
売却益より高い住宅を購入した場合、売却益に対する譲渡所得税の支払いを先送りできます。
ただし、課税時期が先送りとなったのであり、新しい住居を手放すときには譲渡所得税の納税が求められます。
No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁
売却損が出たときの特例2つ
■居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
買い替えを前提として、令和3年12月31日までに旧住宅を売却し売却損が出たときに
- 本来住宅の売却にかかる譲渡所得は他の所得と分けて計し、損失額や給与所得などの他の所得を通算して税金計算できる
- それでも控除しきれなかった場合は、最大3年分の所得に対し控除計算できる
という特例です。
No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
■特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
基本的には「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」と同じ控除が受けられますが、こちらは買い換えが前提でなく、住宅ローン残債と比較して売却益が少なかった場合に対象となります。
住宅を売却したもののローンを支払いつつ、他の賃貸住宅に移り住むパターンなどで適用されます。
No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁
住宅を購入するときの控除
■住宅ローン控除
住宅ローンを新たに契約し、居住用住宅を購入するときのローン残高を所得から控除するというものです。
もちろん控除した上で発生した税金には、支払い義務があります。
No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
■不動産取得税に係る特例措置
住宅を購入した際に係る不動産取得税を、令和6年3月31日まで税率を3%に軽減(本則:4%)できます。
また、住宅を新築した場合は、課税標準から1,200万円を控除できます。
中古住宅を取得した場合にも、課税標準から新築時における控除額と同額を控除します。
これらは不動産を取得する際に発生する税金を抑え、良質な住宅を流通させることを目的とし、一定要件の住宅を購入した際に控除を受けられます。
細かな要件は国税庁および国土交通省のホームページでも公開されています。
住宅に住んでいた年数や手放すまでのタイミングなどの要件が事細かに指定されていますので、誤りなく申請することが重要になります。
一点注意したいのが「特定居住用財産の買換え特例」を適用したときで、あくまで税金の支払いを先送りできるにすぎない制度であることです。
支払い自体が免除されたわけではないので、納税のタイミングまでゆっくり資産計画を立てられる、という意識を忘れないようにしましょう。
住み替え時には、税金控除や特例制度は大切!忘れずに申請を
住み替え時には売却・購入が発生するケースが多く、その際には税金が課せられます。
売却額や購入額に応じて税金が算定されますので、算定基準額が大きくなれば課税額も大きくなり、負担増にもなりかねません。
そんなときには控除や特例制度を賢く利用し、節税に努めるのが得策です。
なお、一部の制度は税額を抑えることではなく支払い時期を先送りするものとなります。
控除の申し出は役所から控除申請を促されるわけではありません。
納税者から必要な申請があって、初めて税額の見直しが行われるため、正しい申請を行うことが節税の近道といえます。
札幌市南区・北広島・恵庭エリアの不動産売却のお悩み、住み替えに関するヒントをお聞きになりたい際には、ぜひ八城地建へお気軽にお問い合わせくださいね。