所有者不明土地法が改正に!法改正で購入しやすくなる理由
2023.07.15
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の宮下です。
購入を希望している土地が、所有者が不明なために購入できなかったらがっかりしますよね。
実は今、相続や転居などが原因で所有者がわからない土地が増えているのです。
そのため現在、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しが進められています。
2023年にすでに改正された部分もあり、今後も追加での改正内容が決まっています。
今回は、所有者不明土地法の改正部分について、その背景や、今後所有者不明土地を買いやすくなる理由もあわせて解説します。
所有者不明土地とは?なぜ増えている?
所有者不明土地が、どのような経緯で発生するのか、わからない方も多いのではないでしょうか。
所有者不明土地とは、土地の所有者が特定されていない状態の土地のことです。
あるいは、所有者がわかったが連絡がとれない、という場合も所有者不明土地と呼びます。
全国における所有者不明土地は、平成29年の段階で全体の22%にのぼっており、その後、高齢化の進展などの要因によってさらに増えていると予想されます。
所有者不明土地は、相続の際に土地所有者の登記が行われなかったり、所有者がいるものの転居の際に住所変更の登記を行わなかったりすることで、所有者と連絡がつかない状態になることが始まりです。
その後、相続が起こるたびに関係者が増えていくため、長い期間、放置された所有者不明の土地は、ますます所有者を特定しにくくなったり、権利関係が複雑になったりすることで売買が難しくなります。
中には明治時代から相続登記をされず、法定相続人が100名以上になってしまった例も。
また、所有者不明のまま売買されることなく長い期間放置されると、土地の管理が行われなくなる結果、周辺環境や治安の悪化も招いてしまいます。
周辺の防災工事や公共事業、市街地開発など、土地の有効活用の妨げにもつながるため、国にとっても大変シビアな問題です。
そのため、政府によって「所有者不明土地の発生予防」ならびに「利用の円滑化」に向けて法改正が進められています。
実際にどう改正されたのか、どう改正されていくことが決まっているかは、次で詳しくご紹介します!
所有者不明土地が買いやすくなる!法改正での変更点とは
増加する所有者不明土地の問題を解決するために、令和3年4月に「民法等の一部を改正する法律」が成立・公布されました。
また、令和5年に変更された部分もある他、今後も令和6年、令和8年と順次施行される法改正があり、所有者不明の土地を購入しやすくなる可能性があります。
詳しく説明していきましょう。
法改正で所有者不明土地が買いやすくなる!その理由とは?
これまで所有者不明土地を購入するのが難しかったのは、登記と戸籍の情報が連携していなかったことが大きな要因でした。
登記事項証明書には所有者の住所や氏名が記載されていますが、転居していることもありますし、すでに亡くなって相続が発生していても、相続人にたどり着くまで困難です。
また、すでに亡くなって相続が発生していても、登記事項証明書からはわからないので、購入したくても所有者にたどりつけず、購入が難しかったといえます。
そのため、今後所有者不明土地の取引を円滑に進めるべく「不動産登記制度の見直し」と「民法のルールの見直し」が行われます。
現在決まっている「不動産登記制度の見直し」の内容や施行日について、以下の表にまとめました。
この法改正が進むことによって、「所有者不明土地」の所有者情報を追いやすくなるといえます。
相続や転居の申請が義務化されることでも、所有者不明土地が発生すること自体が解消されることが期待できるでしょう。
なお、相続登記が義務化することについては「相続登記が義務化?その理由や施行日、手続きを放置するリスクも」でも詳しく解説していますので、参考にしてくださいね。
また、「民法のルールの見直し」は次のような内容です。
所有者と連絡が取れない場合でも、土地の売買に向けて動きやすくなることが期待できるでしょう。
次に、具体的にどう連絡が取りやすくなるのかを詳しくご紹介します。
法改正により所有者不明土地の所有者と連絡がとりやすくなる!
所有者不明土地を購入するためには、どうにかして所有者と連絡を取らなければ始まりませんが、登記事項証明書などで所有者が確認できても、連絡がとれない場合はあるでしょう。
どうしても連絡がとれないケースとは、以下のようなものです。
- 相続人がいない所有者が死亡したまま、手続きがされていない
- 所有者が死亡した際に、相続人と連絡が取れていない
- 所有者の行方がわからない
こういった場合に、法改正によって連絡がとりやすくなりました。
以下の方法を詳しくご説明します。
土地・建物に特化した財産管理制度を活用する
「土地・建物に特化した財産管理制度」はご説明したように、令和5年4月1日に施行された民法の見直しによる新しい制度です。
所有者不明土地の利用を円滑に進めることを目的に、民法のルールが見直されました。
どうしても所有者の所在がわからなかった個別の土地や建物を対象に、利害関係者が地方裁判所に申し立てることによって、土地・建物の管理人を選任してもらうことが可能です。
今までの不在者財産管理制度では財産全般を管理しなければならず、所有者不明土地や建物に対して迅速に対応するのが難しかったのですが、土地・建物に特化して選任が可能になると売買がスムーズになる可能性があります。
複数の所有者がいる所有者不明土地は申し立てで売買が可能に
同じく令和5年4月1日に施行された共有制度の見直しにより、複数人で所有している土地・建物で、所在不明な共有者がいる場合に、他の共有者が地方裁判所に申し立てることで、残りの共有者の持分の過半数で管理行為や変更行為が可能になりました。
そのため、申し立てが認められれば、所在等が不明な共有者の持分を含めて不動産を第三者に譲渡することができるようになります。
所有者不明土地は法改正で買いやすくなる!
不動産登記簿でも所有者がわからなかったり、所有者の所在がわからなかったりする土地を「所有者不明土地」といいます。
購入したい場合は、まずは所有者を探すところから始めますが、個人で行うには簡単なことではありません。
そんな中、増加する所有者不明土地の問題解決のために、民法の一部改正が行われました。
民法を見直すことで所有者不明土地の発生を予防し、売買などによる利用促進を狙う形です。
さらに令和5年4月から順次施行される見直し制度によって、以前より所有者不明土地が買いやすくなることが期待されています。
このような法改正があると、購入できる土地が増えていくので選択肢が増えますよね。
札幌市南区、北広島、恵庭で不動産の売却や購入を検討している方、不動産売買にお悩みの方は、ぜひ八城地建までご相談ください。
ご相談は無料で承っています。