相続登記の義務化がスタート!変更点をわかりやすく解説
2024.04.15
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の宮下です。
2024年4月1日をもって、ついに相続登記の義務化がスタートすることとなりました。
そこで今回は制度のスタートにあたって、内容や変更点、義務化に伴って新設された制度なども含めてわかりやすく解説します。
相続予定の不動産がある方には必要となる内容となっていますので、ぜひ参考にしてくださいね!
相続登記の義務化をわかりやすく説明!今回の義務化では何が重要?
冒頭でお伝えしたように、相続登記の義務化は2024年4月1日にスタートしました。
まずは基本の相続登記の内容と義務化の背景をお伝えし、今回の義務化で重要となるポイントをご紹介していきます。
相続登記・相続登記の義務化とは?
相続登記とは、建物やマンション・土地などの所有者が亡くなった際に相続人の名義に変える手続きのこと。
所有者の名義を変更する手続きの背景には、相続・贈与・売買などさまざまな理由がありますが、亡くなった方からの相続により名義変更することを特に「相続登記」と呼びます。
これまで相続登記は義務ではなく、当事者の任意に任されていました。
今回の義務化によって、不動産を相続したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請をしなければいけません。
相続登記の義務化に関する重要ポイントを解説!
では、「相続登記の義務化」に関わるポイントについてご説明していきましょう。
義務化による重要なポイントは、次の4つ。
1番の注目ポイントは、今回の義務化に伴って導入された「相続人申告登記」です。
- 過去の相続分も義務化の対象
- 登記しなければ10万円以下の過料
- 相続登記の義務化に伴って導入された「相続人申告登記」
- 登記手続きが簡略化
1.過去の相続分も義務化の対象
制度施行日以前に相続の開始があった場合についても、義務化は適用されます。
この制度では「施行日または不動産を相続したことを知ったときの、いずれかの遅い日から3年以内に申請する義務を負う」とされています。
つまり、過去に相続した不動産についても、2027年3月31日までに相続登記する必要がありますので注意しましょう。
2.登記しなければ10万円以下の過料
この制度の大きなポイントは、違反した場合に罰則が設けられている点です。
義務化されることで、正当な理由なく「不動産を相続したことを知ったとき」から3年以内に登記しなかった場合、10万円以下の過料が科せられることになります。
なお、期限の起点となる「不動産を相続したことを知ったとき」とは、次の2つの内容を満たすときです。
- 自分自身への相続が開始したことを知ること
- 自分が相続する財産の中に不動産があることを知ること
具体的な起点の日は、次のように2つのケースが考えられます。
1つ目は、遺言書がある場合です。
被相続人が亡くなったことを知った上で、遺言書に基づいて自分が不動産の所有権を取得したことを知った日が起点となります。
2つ目は遺産分割協議を行った場合です。
遺産協議の結果、「自分自身が相続人であることを知り」かつ「相続財産の中に不動産があることを知った」日が起点になります。
3.相続登記の義務化に伴って導入された「相続人申告登記」
相続登記が義務化されたものの、実際には3年以内に登記するのが難しいケースもあるでしょう。
相続⼈が登記を簡易に進めることができるように、今回の制度施行に伴って「相続人申告登記の申し出」の制度が導入されました。
「相続人申告登記」とは、登記簿上の所有者からの相続が発生したこと、並びに自分自身が相続人であることを登記官に申し出ることを指します。
相続開始から3年以内に申し出ることで「相続登記の義務」を果たしたものと見なされます。
期限内の相続登記が難しいケースとしてあげられるのは、主に次の2つです。
- 遺産分割協議が成立しなかった場合
- 長年相続登記が放置されていて相続人の数が膨大になっている場合
申し出を受けた登記官が必要な審査をした上で、相続人の氏名や住所を登記に付記しますが、不動産の持ち分までは付記されません。
複数の相続人がいても単独で申し出できるだけでなく、相続人の範囲や法定相続分の割合を確定する必要もありません。
そのため、期限内に登記が難しいケースでも、登記義務を果たすことが可能となります。
とはいえ、その後に遺産分割協議が成立した際には、成立した日から3年以内に正式に登記する必要があります。
不動産の所有者を明確にしておかないと、相続不動産を売却したいときに、権利関連の問題から、売却を進められない可能性も出てきますので、放置せずに相続登記を行いましょう。
4.登記手続きが簡略化
先にお伝えした「相続人申告登記」も簡略化の一つですが、他にも簡略化された部分があります。
義務化される前までは、相続財産の一部を遺贈する遺言があった場合に、法定相続人全員の協力がないと名義変更手続きができませんでしたが、義務化による法改正で単独申請ができるようになりました。
また、法定相続分の相続登記後、遺産分割による名義変更登記の必要がある場合についても、他の法定相続人の協力がないと名義変更手続きができませんでしたが、不動産を取得した者が単独で手続きを進めることが可能になりました。
このように、相続登記の義務化には注意点もありますが、スムーズに行えるようになったり、不動産売却時における手続きの迅速化や円滑化が期待できるなど、メリットもあります。
この機会に売却も視野に入れるのも良いかもしれません。
以下のコラムも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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相続登記義務化に伴う制度の新設や法改正について、さらに詳しく解説!
相続登記義務化に伴って新設された、またはこれから新設される制度や法改正は、まだあります。
代表的なものをご説明していきましょう。
- 相続土地国庫帰属制度
- 住所変更登記の義務化
- 所有不動産記録証明制度
なお、「相続土地国庫帰制度」については、相続登記の義務化にあたり、義務化前に先行でスタートした制度です。
相続土地国庫帰属制度
相続した土地を「遠い」「利用予定がない」「管理の負担が大きい」などの理由によって手放したい場合に、一定要件を満たせば、国に帰属させることを可能とする制度です。
相続登記の義務化に伴い、令和5年4月27日から先行で開始された制度で、将来的に土地が所有者不明となり、管理ができなくなることを防ぐために作られました。
負担金として、土地の性質に応じた標準的な管理費用10年分と、申請時の審査に必要な手数料14,000円/1筆の納付が必要です。
詳しくは法務省の「相続土地国庫帰属制度のご案内」もチェックしてみてくださいね。
住所変更登記の義務化
相続登記の義務化に続き、令和8年4月1日から不動産所有者の住所変更登記と氏名変更登記が義務化されます。
相続登記だけを義務化しても、登記後に住所・氏名の変更登記を放置されると所有者不明土地になってしまう可能性があるため、制定されることが決まりました。
不動産を所有する方は、転勤・引越しなどで住所が変わった場合や、結婚などで氏名が変わった場合に、変更があった日から2年以内に変更登記をしなければなりません。
令和8年4月1日以前の変更についても、まだ変更登記していない場合は、令和10年3月31日までに変更登記する必要があります。
期限内に登記をしないと5万円以下の過料の罰則が科せられるため、注意が必要です。
「正当な理由」があれば罰則は科せられませんが、その定義については今後決まる予定になっています。
所有不動産記録証明制度
相続登記の義務化に伴って相続登記が必要な不動産を簡単に把握できるよう、令和8年2月2日より、被相続人が所有している不動産の一覧を証明した書類の交付を法務局に請求できるようになります。
この制度を「所有不動産記録証明制度」と呼びます。
特定の名義人が所有する不動産を把握しやすくなることで、相続不動産の登記漏れを防ぐと共に、相続人が相続登記を申請するときの負担軽減も期待できます。
相続登記義務化の背景は?なぜ放置する人が多かったのか
先にも少し触れましたが、相続登記義務化の背景には、所有者不明土地の増加があります。
所有者不明土地とは「不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない土地」または「判明しても所有者に連絡がつかない土地」のこと。
そもそも相続登記を放置する人が多かった理由には、登記しなくても不利益を被ることがなかったという事情があります。
地方を中心に土地の利活用に対するニーズが低下する中、利活用をしない不動産を登記して税負担が増えるよりも、そのまま放置してしまうケースが増加傾向に。
本来、不動産の所有者は「不動産登記簿」で確認できますが、相続登記しないまま相続が繰り返されることで相続人の数が多くなって所有者がわからなくなり、所有者不明の土地が増えてしまいました。
現在、全国の所有者不明の土地は、九州の大きさに匹敵するともいわれています。
所有者が不明だと、国や自治体が公共用地として利用したくても交渉ができなかったり、きちんと管理されないことで周辺の環境や治安に悪影響を及ぼしたり、民間人同士でも売買の話が進められなかったりする問題があります。
そこで、政府は所有者不明土地の利用を円滑に進めるため、民事基本法制を見直し、相続登記を義務化することとなったのです。
相続登記義務化スタート!相続発生の際には早めに対応を
令和6年4月1日から相続登記の義務化がスタートしました。
不動産を相続する人は「自分自身に関わる相続が開始したことを知り」かつ「相続財産の中に不動産があったことを知った」日を起点に3年以内に相続登記する必要があります。
正当な理由なく登記しない場合は罰則も設けられていますので、放置せず早めに対応しましょう。
また、施行日よりも前に相続した不動産についても、さかのぼって適用となります。
相続した不動産をお持ちの場合は、今一度、登記の状況を確認してみてくださいね。
制度の施行に伴って手続きが簡略化された部分や新設された制度、法改正もありますので、手続きに不安が残る場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
札幌市南区、北広島市、恵庭市で相続不動産の売却を検討されている方は、八城地建までお気軽にご相談ください!
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