空家等対策特別措置法とは?改正になった部分も解説!
2024.04.30
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の酒井です。
家を相続した方の中には、居住している場所から遠かったり利便性の良くない物件だったりという理由から、空き家のままにしている方もいるのではないでしょうか。
増え続ける空き家が社会問題となったことを背景に、2015年「空家等対策特別措置法」が全面施行され、さらに2023年12月にはその法律が改正されています。
今回は「空家等対策特別措置法」について、その概要や制定の背景、改正された点を解説!
空き家として処分の対象にならないための方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
空家等対策特別措置法とは?どこが改正になった?
ここではまず「空家等対策特別措置法」の概要をおさらいした上で、2023年に改正された背景やポイントについて解説します。
空家等対策特別特措法とは?
空家対策特別特措法は2015年5月に全面施行された法律で、正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法」といいます。
周囲に悪影響を及ぼす「特定空き家」の対策を進めることを目的として作られました。
「特定空き家」とは、建築物や付属工作物で常態的に居住や使用がなされていないもの。
国や地方自治体が所有・管理するものは除外されます。
空家等対策特別措置法によって、自治体は空き家への立入調査や所有者情報の把握が可能になりました。
ただし、施行されたものの、特定空き家への勧告や命令、行政代執行などの措置は増加傾向にあり、特定空き家となってからの対応には限界があったことから、改正の方向に。
改正前は、市町村長が特定空き家の所有者に報告徴収を行う権限がなかったことや、予防的な対策に限界があったことから、適切な対応が難しかったのです。
空家等対策特別特措法の改正された点は?
空家等対策特別特措法が施行された後も、空き家が増え続けたことを受けて、2023年6月に公布されたのが「改正空家等対策特別特措法」です。
2023年12月に施行となった「改正空家等対策特別特措法」の主なポイントは次の3点です。
- 空き家の活用拡大
- 管理不全空き家の新設
- 特定空き家への対応強化
①空き家の活用拡大
市町村が「空家等活用促進区域」を設定し、用途変更や建て替えなどを促進できるようになりました。
具体的には前面道路の幅員規制や用途変更に関する用途規制を合理化することなどが含まれます。
さらに所有者に対し、合理化に伴った活用を要請できるようになったことも、大きな改正点といえるでしょう。
②管理不全空き家の新設
市町村が裁判所に財産管理人の選任を請求し、所有者に代わって空き家を処分できるようになったのも大きなポイントです。
特定空き家の増加を防ぐため、状態が極めて悪化する前の段階で対応できる「管理不全空き家」が新たに定義され、管理不全空き家に指定された空き家の所有者に対して、市区町村長は指導や勧告をすることが可能に。
次の章で詳しく解説しますが、指示に従って改善をしなければ、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなる可能性があります。
③特定空き家への対応強化
市町村長に特定空き家の所有者に対する報告徴収権が付与され、特定空き家への勧告や命令が円滑に行えるようになりました。
これまで裁判所の確定判決が必要だった「代執行※」が、緊急時は命令などの手続きを経ず可能になったことも大きな改正点です。
※空き家が著しく悪化しているにも関わらず、所有者が管理の義務をまっとうしない場合、行政が空き家の解体・撤去などを行うこと
今までは空き家の代執行や費用徴収のために時間と手間がかかってしましたが、命令以降の対応が迅速になるため、改善しなければ過料を科せられたり、解体が行われるなどの処分に向けての動きが早まる可能性があります。
また、代執行による解体費用なども、改正によって強制的に徴収することが可能になっています。
以上のように、改正では空き家の早期発見と予防、所有者不在の空き家への対応強化などが図られています。
特定空き家または管理不全空き家に指定されるとリスクが大きいことがわかりましたが、どういう条件で指定されてしまうのか、具体的にどんなリスクがあるのか、指定されることを避けるにはどうしたら良いのか、という点についても次で解説していきましょう。
特定空き家・管理不全空き家になると大変!対策もチェック
「改正空家等対策特別特措法」では、お伝えしたように、前からあった「特定空き家」だけでなく「管理不全空き家」が新しく定義されています。
「特定空き家」と「管理不全空き家」がどのようなものか、そして指定されるとどのようなことが起きるのか、そして指定されないための対策についてお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
特定空き家・管理不全空き家に指定される条件とは?
まず「特定空き家」は、次のような空き家のことを指します。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
一方「管理不全空き家」は、放置すれば特定空き家になるおそれがある空き家を指します。
「管理不全空き家」の段階で行政が指導や勧告を行い、状況が改善されない場合は「特定空き家」に指定されます。
勧告の段階で状況改善が図られれば「特定空き家」への指定は回避できます。
特定空き家・管理不全空き家に指定されるとどうなる?
管理不全空き家または特定空き家に指定されると、市町村から「助言・指導」「勧告」「命令」「代執行」の措置が取られます。
従来は「特定空き家」のみが対象でしたが、改正法では「管理不全空き家」も対象となりました。
改正空家等対策特別特措法の中で特に重要な変更点は、先にもお話ししたように、「管理不全空き家」への助言・指導を経て勧告がなされた場合、その空き家の固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなることです。
助言・指導で空き家の管理状況を改善するよう促され、それでも改善されない場合に勧告を受けるのですが、勧告を受けると特例が適用されなくなることで最大6倍の固定資産税を納めなければならなくなります。
固定資産税の住宅用地特例の解除については「空き家の固定資産税が6倍になるのはいつから?法改正で対象が増える!」のコラムでも詳しく解説しています。
あわせて参考にしてくださいね。
特定空き家や管理不全空き家に指定されないための方法
特定空き家や管理不全空き家に指定されてしまうと、税制面での優遇措置も適用されないばかりではなく、代執行にまで発展すると費用負担も大きくなります。
そもそも空き家のまま放置して状態が悪くなると、管理に大きな手間と費用がかかることにもなります。
そのため、居住予定のない家を相続した場合は、早めに対応するのがおすすめです。
対策として効果的な方法は次の通りです。
- 空き家を売却する
- 空き家を活用する
空き家を売却する
家はそのままで、中古住宅付き土地として売却する方法が一つです。
最も手間をかけずに空き家を手放すことができるでしょう。
また、解体して更地を売却する方法もあります。
特に、住宅の築年数が古い場合は、土地のみで販売した方が早く売却できる可能性も高まるでしょう。
相続した家の売却に関しては、要件次第で特別控除の制度が適用されます。
詳しくは「相続空き家の3,000万円特別控除とは?税制改正での変更点もチェック!」のコラムも参考にしてください。
空き家を活用する
リフォームや建て替えをして、自宅として利用するのも一つの方法です。
思い入れのある実家を手放したくないと考える方にとっても、良い解決法となります。
また、リフォームや建て替えをすることで、賃貸物件として活用することも可能です。
立地が良い場合は、選択肢の一つとして検討するのも良いでしょう。
特定空き家や管理不全空き家に指定されないためには、空き家の状態が悪化する前に、売却や有効活用を検討することが重要です。
売却・活用のどちらかで迷う場合は、不動産業者などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
空家等対策特別措置法とは危険な空き家を作らないための予防策
相続によって引き継いだ不動産を、空き家のまま放置するケースが増加しています。
管理の行き届かない空き家が増加し、社会問題となったことから「空家等対策特別措置法」が施行されました。
2015年5月に全面施行された法律ですが、予防的な措置、状態が悪化した空き家への対応強化を主な目的として2023年に一部改正されています。
改正空家等対策特別措置法によって、空き家のまま放置することは、税制面の優遇措置が適用されないだけでなく、代執行になった場合には費用負担などリスクが非常に高くなります。
そのため、相続した不動産を活用しない場合には、早めに対応することが必要です。
「特定空き家」「管理不全空き家」と指定される前に、売却やリフォーム、建て替えなどの方法を検討しましょう。
札幌市南区、北広島市、恵庭市で不動産の売却を検討されている方は、八城地建までお気軽にご相談ください。
ご相談は無料で承っています。