COLUMN不動産売却コラム

相続登記が義務化?その理由や施行日、手続きを放置するリスクも

2022.02.20

こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の宮下です。

 

建物やマンション土地などの所有者が亡くなった際、「相続登記」という相続人の名義に変える手続きをする必要があります。

 

これまでは相続登記は当事者の任意とされていましたが、2024年4月より義務化されることとなりました。

 

そこで今回は、相続登記が義務化された理由を解説するとともに、申請の方法や期限などを解説していきます。

相続登記を放置するとリスクが伴いますので、しっかりと確認するようにしてくださいね。

登記申請書
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相続登記の申請が義務化されるのはどうして?

まずは、そもそも相続登記とは何なのか、ということから解説していきます。

 

相続登記とは?

相続登記とは、建物やマンション・土地などの所有者が亡くなった際に相続人の名義に変える手続きのことを言います。

 

所有者の名義を変更する手続きの背景には相続、贈与、売買などさまざまな理由がありますが、亡くなった方から相続により名義変更することを特に「相続登記」と呼びます。

 

これまで相続登記は義務ではなく、当事者の任意に任されていました。

つまり、相続による名義変更手続きは必ずしも必要なわけではないということになります。

 

しかし、2021年4月に「民法等の一部を改正する法律」(民法等一部改正法、令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(相続土地国庫帰属法、令和3年法律第25号)が可決されました。

これにより、2024年を目途に「相続登記を義務化する」改正法案が施行されることとなったのです。

 

相続登記の申請が義務化される理由

では、なぜ相続登記の申請が義務化されることになったのでしょうか。

 

その背景には、所有者不明土地の増加があります。

 

所有者不明土地とは「不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地」のこと。

本来、土地など不動産の所有者は「不動産登記簿」で確認することができますが、相続登記が義務化されていないことにより、所有者不明の土地が年々増えてしまっているのです。

 

現在全国の所有者不明の土地は九州全土の大きさを超えるほどの大きさになっており、このまま増え続けると2040年には2倍近くの大きさになると予想されています。

 

所有者が不明だと、国や自治体が公共用地として利用したくても交渉ができなかったり、民間人同士でも売買の話が進められなかったりします。

九州全土ほどの広大な土地が、活用されることなく放置されてしまっているのです。

 

そこで政府は所有者不明土地の利用を円滑に進めるため、民事基本法制を見直し、相続登記を義務化することとなったのです。

 

 

相続登記の申請が義務化されるとどうなる?施行はいつから?

では、実際に相続登記の申請が義務化されるとどうなるのでしょうか。

 

相続登記に関するその他の制度や、相続登記の申請期限についても変更がありますので、罰則とあわせてご紹介していきましょう。

 

「相続登記申請の義務化」施行日・義務化に伴う制度の変更点

相続登記の義務化に関する法案は2021年4月に可決されましたが、実際に施行されるのは2024年4月1日からです。

 

また、相続登記の申請義務化以外にも所有者不明土地に関連する法律も見直され、2023年4月1日からは土地利用の円滑化のために財産管理制度や相隣関係規定、相続制度などの見直しが行われます。

 

さらに、土地を手放すための制度「相続土地の国庫帰属制度」も2023年4月27日より施行されることになりました。

 

今までは土地のみの相続放棄はできませんでしたが、これにより不要な土地だけの相続放棄が認められれば、相続時に土地の所有権だけを放棄し、他の遺産は相続することができるようになります。

 

また、新たに不動産の所有権を取得する個人は、名義変更登記時に生年月日等の情報の提供に関しても義務化に。

所有者が法人の場合は、登記簿に会社法人等番号が記録されます。

 

相続登記に関する申請期限と罰則

不動産や土地の所有者が亡くなったことによる相続や、遺言などの遺贈により、その所有権を取得した人は、取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をする義務が発生します。

これに違反すると10万円以下の過料が課されます。

 

また、不動産の所有者の氏名・住所の変更についての登記も義務化されるため、2年以内に変更登記をしないと5万円以下の過料を受ける可能性もあります。

 

相続登記の申請の義務化施行日前に相続の開始があった場合についても、義務化は適用されますので注意しましょう。

 

なお、今までは基本的には相続人全員で相続登記を行うものとされていましたが、この法案により単独でも申請できることになりました。

万が一、遺産分割協議が完了しないことなどにより期限内に相続登記ができない場合は、自分が相続人であることを期間内に法務局へ申請し、法定相続分による相続登記をすれば、一時的に過料を免れることが可能です。

 

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相続登記の申請手続きをしないとどんな問題が発生する?

施行後、相続登記を行わないと10万円以下の罰金が課せられますが、所有者不明の土地を保有することには、他にも次のような問題が発生します。

相続などで土地や不動産を引き継いだ場合には、必ず相続登記を行うようにしましょう。

 

相続不動産の売却ができない

不動産や土地を所有していると、売却してキャッシュにしたい、担保に入れてローンを組みたい、と思うことがあるかもしれません。

 

しかし、相続登記をしていないと、売却ができなかったり担保として利用することができません。

 

また、個人間で売ろうとしても、登記簿で売主の名義が確認できない土地や不動産は不審がられることが多いでしょう。

手続きをスムーズに進めるためにはもちろんのこと、購入者の安心を得るためにも名義ははっきりしておくことをおすすめします。

 

相続人が増えて手続きが煩雑になる

相続登記の放置を繰り返すと、その土地や不動産の名義人は何世代も上の人となることが多いです。

 

当初の名義人から子供に相続され、さらにその子供に相続され…となるうちに、相続人がどんどん増加していくことになります。

 

遺産分割協議では本来、相続人全員で「不動産を誰の名義にするか」について話し合う必要があります。

しかし、相続人が増えるほど話し合うべき人数は増え、相続するには全員の合意を得る必要が出てきます。

 

遠い親戚まで一人ひとり連絡をして、話し合いの場を設けるという手間と労力を省くためにも、相続登記は都度行うようにしておきましょう。

 

 

相続登記の申請が義務化される前に!手続き方法を確認

法務局

相続登記は具体的にどのように行えばいいのでしょうか。

施行してからバタバタしないように、義務化される前にチェックしておきましょう。

 

相続登記の手続き方法

相続登記登記は、その土地や不動産がある場所の法務局で申請を行う必要があります。

 

相続登記の手続きはこのような流れで行います。

  1. 必要書類を集める
  2. 登記申請書を作成する
  3. 申請書と必要書類を法務局に提出して税金と費用を支払う

 

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書など、必要書類は登記手続きの内容によって異なります。

管轄の法務局にあらかじめ確認するようにしましょう。

 

また、申請の方法は以下の3つがあります。

  • 法務局の窓口での申請
  • 郵送での申請
  • オンラインでの申請

 

オンラインでの手続きは時間や場所を問わないというメリットがありますが、事前に電子証明書などの取得が必要なため、少々難しい作業が起きてしまいます。

 

一般の方が自分で行う際は、窓口での手続きをおすすめします。

不備があった際には訂正印が必要となるため、必ず持っていくようにしてください。

 

相続登記の手続きは、申請をしてから10日程度で完了します。

法務局から交付された登記識別情報通知書は、大切に保管するようにしましょう。

 

相続登記を自分で行う場合、書類取得だけで最低でも4〜5日程度の時間が必要になり、相続人や不動産が多いほど時間と手間がかかります。

相続した不動産の売却予定がある場合は、時間をかけず正確に相続登記を行うためにも、手続きの全てを司法書士に依頼することをおすすめします。

 

相続登記の手続きにかかる費用

相続登記にかかる費用は大きく分けて3つです。

 

登録免許税

登記手続きをする際に国に納めなければいけない税金として「登録免許税」があります。

相続登記の場合は不動産の固定資産評価額の0.4%ですので、例えば不動産が2,000万円の評価額の場合だと、不動産の登録免許税は8万円になります。

 

さらに郵便局や法務局で納める額の分だけ収入印紙を購入し、納税することができます。

 

必要書類の取得費

手続きに必要な書類を集めるためにも、ある程度の費用がかかります。

「登記事項証明書(1物件につき600円)」「戸籍謄本類の発行手数料(1通につき500~700円程度)」「印鑑登録証明書(500円程度)」「郵便代」などが発生することも覚えておきましょう。

 

相続人が増えればその分必要な書類も増えるので、相続人の数に応じて金額も変わります。

相続登記に必要な書類や費用に関しては「所有者が亡くなった場合の不動産の名義変更は?必要書類や費用も解説」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

 

2024年4月より相続登記が義務化!事前に申請手続きを確認しよう

建物やマンション・土地などの所有者が亡くなった際に行う手続きである「相続登記」。

これまで相続登記は当事者の任意とされていましたが、2024年4月1日より義務化されることが決定しました。

 

重要なのは今回の法改正や新法が施行日前に発生した相続も対象にする点です。

何かを義務付けたり、違反者に過料を科したりする法律は通常、施行日から遡って適用することはしませんが、今回についてはすでに起きている相続案件を含めないと、所有者不明土地の発生を防ぐ効果が薄れると判断したそうです。

 

なお、相続した日より3年以内に相続登記の申請をしないと、10万円以下の罰金が課せられます。

 

罰金以外にも、相続不動産の売却ができない、相続人が増えて手続きが煩雑になるといったリスクが多くあります。

 

実際にあった事例として、当社へ不動産売却の依頼をしたいという方からご相談を頂きましたが、相続登記をしていなかったため、その間に相続人が増加したことで全員の意見調整がまとまらず、売却を断念せざるを得なかったケースがありました。

その不動産は築後50年以上経過していますが、いまだに空き家の状態です。

 

これらのリスクを回避するためにも、相続を受けた場合にはしっかりと手続きをするようにしましょう。

不備なくしっかりと手続きを行うためにも、法務局の窓口での手続きがおすすめです。

 

八城地建では、札幌市南区・北広島・恵庭の不動産売却の際の手続きもサポートしています。

該当する地域での不動産に関するお悩みをお持ちの際は、ぜひ一度お問い合わせください!

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