不動産売却は相続前か相続後か迷う方へ!検討ポイントを解説
2024.03.20
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の宮下です。
相続する予定の不動産があるときに、居住や活用の予定がない場合は売却を考える方が多いでしょう。
ですが、売却を相続前にするべきか、相続後にするべきかは、さまざまな情報があるため、悩む方もいるかもしれません。
そこで今回は、相続した不動産の売却をいつするべきかという点について解説します。
それぞれのメリット・デメリットに加え、検討するべきポイントについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
不動産売却を相続前・相続後にするメリットデメリット
相続する予定のある不動産の売却を、相続前と相続後、どちらに行うかという点については一概に判断できません。
どちらのタイミングでもメリットとデメリットがありますので、それぞれの状況によって総合的に判断することが求められます。
ここでは、相続前と相続後に、それぞれ売却した場合のメリットデメリットを解説します。
不動産を相続前に売却をするメリットは
相続人が複数いる場合、不動産のままでは分割が困難です。
一方で、相続前に現金化しておけば遺産を公平に分割できるため、遺産分割協議が不要となります。
不動産を売却して利益が出ると譲渡所得税がかかりますが、居住用にしている不動産を売却する際には税制面での特例を適用できる点もメリットといえるでしょう。
その特例を「マイホームを売ったときの特例」といいます。
マイホームを売却した際に、譲渡所得から最高3,000万円までを控除できる特例です。
この制度は物件の所有期間にかかわらないため、利用できる方は多いと考えられます。
また、10年以上の長期所有であり、相続人でなく住んでいた所有者本人が売る場合には「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」も活用可能です。
要件に当てはまれば、長期譲渡所得の税額より低い税率、いわゆる軽減税率というものが適用できます。
このほか、不動産を売却し現金化することで所有者の老後資金に充てられることもメリットでしょう。
不動産を相続前に売却をするデメリット
相続前に不動産を売却する最大のデメリットは、相続税負担の増加です。
現金のほうが不動産よりも相続税の評価額が高くなるため、相続税の負担が増えるケースがほとんどです。
不動産に対する相続税は、土地は路線価か倍率方式、建物は固定資産税により評価され、課税されます。
現金は時価と同等の評価額ですが、路線価は一般的に時価の80%、固定資産税評価額は時価の70%程度。
不動産よりも現金の遺産額が高くなることが、相続税の負担が増す理由です。
また、居住用不動産を売却してしまうことで、所有者は次の住居が必要になるため、新居を確保をする手間や費用の計画が必要な点もデメリットの一つかもしれません。
不動産を相続後に売却をするメリット
お伝えしたように、不動産のほうが現金よりも相続時の評価額が低く抑えられるケースが多いため、相続税の負担を軽減できます。
さらに、相続後に売却する際にも、譲渡所得に対する特例や特別控除が活用可能です。
「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」や「被相続人の居住用財産を売ったときの特例
」を受けることができれば、譲渡所得税を大幅に軽減できます。
「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に相続不動産を売却した場合に適用されます。
相続税額のうち一定金額を、譲渡資産の取得費として加算できるため、譲渡所得税の節税効果が期待できます。
「被相続人の居住用財産を売ったときの特例」は、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却した相続空き家について、譲渡所得の金額が最高3,000万円まで控除できる制度です(令和6年1月1日以後に行う譲渡で相続人が3人以上である場合は2,000万円まで)。
適用についてはいくつかの要件があるため、相続後に売却する場合は、詳細を確認するようにしましょう。
相続後の不動産売却については「相続した不動産を売却する流れを解説!揉めないための方法や節税対策も」でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
不動産を相続後に売却をするデメリット
相続人が複数いる場合、遺産分割協議で合意が得られ、遺産配分が確定するまでは売却できません。
反対する相続人がいれば、協議が長期化するだけでなく、売却そのものができなくなるリスクもあります。
遺産協議やその手続きが煩雑になることが、相続後に売却するデメリットです。
また、相続税の支払い資金に売却代金を充てる場合は、納税の期限までに売却を進める必要があります。
期限に間に合わせようとすると、相場より安値での売却を余儀なくされるおそれがあることもデメリットの一つといえるでしょう。
不動産売却は相続前or相続後?迷う場合の検討ポイント
不動産をいつ売却すべきかということについて、単純にメリットデメリットを比較するだけで判断するのは困難です。
実際は、メリットデメリットを踏まえた上で、それぞれに置かれた環境や状況に応じて考えることが必要でしょう。
ここでは、迷った場合に検討すべきポイントについて解説します。
特に重要な点は以下の通りです。
- 相続人の人数や関係性
- 税金の額
- 被相続人の意思
【ポイント1】相続人の人数や関係性
まず、考えるべきなのは、相続人の人数や関係性です。
相続人が複数いて関係が悪化しそうな場合、相続前の売却を検討した方が良いといえます。
関係性が良くない場合、遺産分割協議がスムーズに運ばないことが多いです。
相続後に相続人全員の合意が得られない場合は、売却そのものができない可能性もあります。
そのほか、老人ホームに入居する資金にしたいなど老後の資金に充てたい場合も、相続前に売却をして現金化するのが良いでしょう。
また、相続後に売却することで適用できる特別控除は、相続人の人数によって適用できる最高金額が異なります。
複数の相続人がいる場合は、この点を踏まえた上で検討することも大切です。
【ポイント2】税金の額
メリット・デメリットで解説した通り、不動産と現金では相続税評価額が異なります。
節税を最優先するなら、相続後に売却する方が有利です。
ただし、相続前に売却し、マイホーム売却時の特別控除を適用した場合、売却価格によっては、大きな節税効果を得られることもあります。
税金の金額で検討する場合は、相続税だけでなく譲渡所得税も想定して計算し、総合的に判断する必要があるでしょう。
相続する家が空き家になる場合は、早めに売却ができないと、売れない間の管理費や固定資産税がかかる点も検討ポイントです。
また、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内の売却、「被相続人の居住用財産を売ったときの特例」は相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合の適用です。
そのため、相続後3年以内に売却できそうか、という点も考える必要があります。
【ポイント3】被相続人の意思
不動産の売却においては、最終的には故人の意思を尊重することが大切です。
例えば、最期まで自宅で過ごしたいという気持ちがあれば、相続後に売却するのが良いでしょう。
また、特定の相続人に不動産を残したいという希望であれば、それに沿った対応が求められます。
生前に希望を確認し、できるだけ意思を尊重できる方法で売却を検討するのがおすすめです。
相続前・相続後のどちらに不動産売却するかは状況に応じて検討を
不動産の売却タイミングは様々な要因を考慮して、最適なケースを選ぶ必要があります。
不動産の売却は相続前・相続後、いずれにしてもそれぞれメリットとデメリットが発生します。
相続前か相続後かの一概な判断は難しく、状況に応じてメリット・デメリットを慎重に検討することが必要でしょう。
検討する際には、一つの側面からだけでなく、さまざまな側面から見て総合的に判断することが重要です。
最終的には不動産を残してくれる被相続人の意思を尊重した上で、売却の判断をしたいところですね。
不動産の売却は、専門家に相談しながら、譲渡益税や相続税、共有者間の調整、売却時期などのポイントを確認し、家族にとってベストな選択をすることをおすすめします。
札幌市南区、北広島市、恵庭市で相続不動産の売却を検討されている方は、八城地建までお気軽にご相談ください。
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