隣地への越境物がある・隣地越境している不動産の売却方法は?
2024.07.01
こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の岩瀬です。
不動産の売却を検討するときに、隣地にはみ出してしまっているものがある、または隣地から越境しているものがある場合、どうしたら良いか悩むケースがあります。
すぐに片付けられるものでなかった場合は、売却に影響するのでは?と不安に思う方もいるでしょう。
敷地の境界線から隣接する土地に、はみ出しているものを「越境物」といいます。
越境物があると、売却活動が進まなかったり、トラブルになりやすかったりするので、注意が必要です。
今回は、隣地への越境物がある・隣地越境をしている不動産の売却について解説します。
不動産の売却を検討している方は、ぜひチェックしてくださいね。
隣地からの越境物がある・越境している場合の例から解説!
越境とは、隣り合う一方の土地の所有物が、敷地の境界線を越えてもう一方の土地に入っていることを指します。
境界線については「土地売買における境界明示義務とは?重要性や怠った場合の影響などを解説」でも解説していますので、ぜひチェックしてくださいね。
隣の土地へ越境している状態は、隣地の所有権を侵害しているということになるため、以下のようなリスクが発生します。
- 越境されている土地の所有者から、越境物の撤去を求められる
- 越境物が土地所有権を侵害していた場合、その損害に対して賠償を求められる
また、土地や建物を売却したいと考えたときには、越境物が売却の障害になることもあるため早めの対応が必要です。
とはいえ、実際にどのようなものが越境物と呼ばれるのか、よくわからないという方もいるでしょう。
そこで、まずは越境物とは具体的にどのようなものか、実際にある事例をご紹介します。
樹木の越境
越境物の中でも比較的起こりやすい事例として「樹木の越境」があります。
隣接する土地との境界線近くに植えた樹木が成長することで、気付かないうちに境界線を越えてしまっている、というようなケースです。
樹木の越境は、枝葉が空中で越えてしまうケースと、根が地面の下で越えてしまっているケースがあります。
「枝葉の越境」に対する対応については、今まで越境されている土地の所有者が勝手に枝葉を剪定することは認められていませんでした。
ですが、2023年4月の民法改正により次の条件付きで認められることになりました。
- 竹木の所有者に切除の催促をしたにもかかわらず、切除してくれないとき
- 竹木の所有者、またはその所在がわからないとき
- 急迫の事情があるとき
一方「根の越境」については、土地の所有者が根を切り取って良いと認められています。
とはいえ、基本的には越境している樹木の所有者に対応してもらうことが原則であり、無断で切り取ることはトラブルにつながりやすいため、樹木の所有者・隣接する土地の所有者がわかる場合は、協議の上で対応する必要があります。
エクステリアの越境
塀やフェンスなど外構の一部が越境しているケースも見られます。
塀やフェンスは、隣接する土地との境にするために作られることが多いエクステリアです。
越境しないように設計するのはもちろんですが、実際には、設計ミスや建設時のミスにより越境してしまう例があります。
また、塀を建てた当時は越境していなくても、国土調査などで新たに測量が行われた際に、境界位置が変更されたことにより、越境物となってしまうケースもあります。
建物の越境
建物の越境で多いケースは屋根や雨どい、庇など建物の一部が敷地の境界線を越えてしまっている例です。
エクステリア同様、越境しないように設計するのはもちろんですが、実際には設計ミスや建設時のミスにより越えてしまうケースがあります。
給排水管の越境
越境の中でもわかりにくいのが、給排水管が越境しているケースです。
給排水管は基本的に地中にあるため、目視ができません。
不動産売買のときに初めて発覚することもあるため、売買に影響しやすいケースといえるでしょう。
越境物がある不動産を売却するのは可能!ただし早めの解決が重要
越境物があっても買主が承諾をすれば売却は可能です。
ただし、解決しないまま売却をすると、買主が見つかりにくいほか、売買価格が減額になることもあります。
また、売買の際に売主が越境物に関して説明していなかったり、不十分であったりした場合、買主から契約解除をされる可能性があるほか、損害賠償を請求される恐れも。
隣地から、または隣地への越境物がある不動産は「瑕疵」にあたるため、資産価値が下がります。
さらに、建築基準法第一条では「一つの敷地には一つの建物しか建築できない」と定められているため、越境している内容が建物やその一部である場合、その越境物が一つの建物と見なされてしまうと、購入後の新築や建て替えができない可能性があります。
このように、隣地からの越境物がある場合は、不動産の売却に大きく影響することが考えられますので、早めに解決することが必要です。
次で、越境物がある不動産を売却する方法について解説しますので、ぜひ検討してみてくださいね!
隣地への越境物がある・隣地から越境物がある不動産を売却する方法
隣地への越境物がある場合、または隣地から越境物がある場合の解決策はほぼ同じです。
以下の4つの方法を検討しましょう。
売却方法①越境物を取り除く
不動産を売却する際に越境物があると判明した場合、越境物を取り除いてから売却活動に入るのが、最も適切な方法です。
越境物に関して将来的な不安が解消されるため、不動産売却もスムーズに進めることができます。
実際に、弊社を通じて売却が成立したケースを例にとって解説しましょう。
【事例】屋根からの落雪が越境してしまう住宅売却のケース
冬の積雪時にどうしても隣地に落雪してしまう屋根の形状をした、相続空家の売却を検討していた事例です。
築40年を超える住宅で、屋根の角度から予測すると、隣地への落雪は防ぎようがない状況でした。
常に境界線を越えているわけではないものの、積雪のたびに隣地に越境してしまっているため、その原因を撤去しての売却をご提案。
雪止めを設置することも検討したものの、設置費用と効果を考えたときに、リスクを完全に無くせるものではないため、建物を解体・更地にして、売土地で売却しました。
さらに詳しくは「隣地へ落雪により越境していた住宅の売却(北広島市の戸建)」でご紹介していますので、あわせて参考にしてくださいね。
ただし、隣地から越境してきている場合は、話し合いを設けることが必要です。
撤去に応じてもらえない場合は、境界確定をした上で越境していることを認める覚書(おぼえがき)を交わしておきましょう。
また、越境物を取り除くことが難しい場合についても、覚書を作成して売却する方法を取ることがあります。
売却方法②越境物に対して覚書を作成する
越境物を取り除くのが最適とはいえ、隣地からの越境物の撤去を隣人に承諾してもらえなかったり、売買が成立する前に取り除くのが難しかったり、またはそもそも取り除くのが難しかったりすることもあります。
そのような場合は、隣地所有者との間で越境物についての覚書を作成し、覚書とともに越境物があることを承諾してもらった上で購入してもらう方法もあります。
まず、隣地所有者との間で、境界の位置や越境物、越境の範囲を図面に書いて特定します。
越境物の今後の処理や、売却する際に買主にその内容が引き継がれることも確認しておかなければなりません。
覚書には以下のような内容を記します。
- 越境物の詳細
- 越境物がある事実を双方で確認していること
- 越境物はどちらの所有物か
- 越境物はどちらが管理するのか
- いつまでに越境物を撤去するか(例:将来建物を建てる際に撤去するなど)
- 売買や相続時で所有権移転があっても覚書の内容を継承すること
買主へは、越境物に関する情報と隣地所有者との合意内容を、正確かつ明確に説明することが重要です。
説明がなかったり、不十分であったりした場合は、契約不適合責任を問われることもありますので注意しましょう。
売却方法③越境している部分を売買または譲渡する
隣地へ越境している部分、または隣地から越境している部分の敷地を売却したり、買い取ったりしてどちらかの所有地にする方法もあります。
この方法であれば、不動産の瑕疵になることはなく、また建築基準法上の問題もなくなります。
ただし、この場合は土地の分筆が必要となりますので、測量費用や所有権移転登記費用などコストもかかってきます。
当社でもこの方法を行った事例はありますが、数としては少ないケースです。
売却方法④不動産会社に買い取ってもらう
越境物の解決が難しい場合は、不動産会社に買取を依頼する方法もあります。
不動産会社に買取を依頼すると、価格は相場よりも安くなる可能性はありますが、買主を探す必要がないため売却はスムーズに進みます。
早く売却することを優先する場合には、この方法がおすすめです。
隣地への越境物がある場合はできるだけ撤去が済んでから売却を
越境とは、隣り合う一方の土地の所有物が敷地の境界線を越えて、もう一方の土地に侵入している状態をいいます。
越境していると隣地の土地所有権を侵害していることになるため、越境物の撤去を求められるだけでなく、場合によっては損害賠償を求められることもあります。
越境は、建物だけを指すのではありません。
比較的多いケースとして、庭に植えられた樹木の枝葉や根、塀やフェンスなどのエクステリアが気付かないうちに境界線を越えていることがあります。
越境物がある不動産は、買主が承諾すれば売却は可能ですが、さまざまなリスクがあることから、そのままだとなかなか売れないことも多いです。
そのため、越境物を撤去してから(撤去してもらってから)売買活動に入るのが最適です。
撤去が難しい場合は、隣人と覚書を作成した上で売却したり、越境している部分の土地を売買・譲渡したり、不動産会社に買取してもらう方法もあります。
いずれにしても個人で行うのに不安が残る場合は、不動産の売買に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。
札幌市南区、北広島市、恵庭市で相続不動産の売却を検討されている方は、八城地建までお気軽にご相談ください!
ご相談は無料で承っています。