COLUMN不動産売却コラム

相続税から税額を差し引ける贈与税額控除を解説!税制改正部分も確認

2023.05.26

こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の田畑です。

 

今回は、相続における「贈与税額控除」について解説します。

 

「贈与税額控除とはなんだろう」「税制改正で何か変わったのだろうか?」「他に税金がかからない方法はないのか?」と気になることも多いですよね。

 

「贈与税額控除」は知らないと、税金を二重に支払うことにもつながる制度です。

 

税制改正によって生前贈与を検討しやすくなりましたので、この機会に「贈与税額控除」への理解を深め、ぜひ今後の参考にしてください。

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相続税から税額を差し引ける贈与税額控除とは?

贈与税額控除」は相続する財産のうち、すでに贈与税を支払っている分に関して、二重に支払うことがないように作られている仕組みです。

 

これだけでは、どうしてそのようなことが起こるのか、わかりにくい面もありますので、まずは相続税や贈与税について解説していきましょう。

 

相続税・贈与税とは?

相続税は、亡くなった人が保有していたお金や土地などの財産を、受け取った人が払う税金です。

 

とはいえ、全ての相続分に必ずかかるわけではなく、借金や葬式費用などを差し引いた額が、規定の額(基礎控除)を上回った場合にのみかかります。

 

贈与税は、誰かから贈与によって財産を得たときにかかる税金で、1月1日から12月31日までの1年間の贈与に対して課税される仕組みです。

 

贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税」の2種類の方法があり、どちらも基礎控除額が決まっています。

贈与税は、基礎控除額を上回った贈与に対して、年ごとに課税されるようになっています。

 

贈与税額控除とは?

贈与税額控除とは、相続税の計算をするときに、すでに贈与税を支払っている分を差し引いて計算をすることです。

 

なぜ、このような計算が必要になるかというと、生前贈与を済ませていても、相続時に相続財産として足し戻す条件があるからです。

 

「暦年贈与」の場合は、相続発生から7年間さかのぼって、贈与された金額を相続財産として足し戻す必要があります。

 

また「相続時精算課税」の場合は、基礎控除分の贈与税が非課税となる代わりに、相続時に贈与分を相続財産としてすべて足し戻して計算されます。

 

相続税の計算をする際、上記の条件通りに贈与額を足し戻すと、すでに贈与税を支払っている分も課税対象として計算されることになります。

一度税金を納めた財産が、再び課税の対象となってしまうため「贈与税額控除」で引けるようになっているのです。

 

贈与税額控除のルールは?

贈与税額控除を使うには、相続時の申告書に自ら記載する必要があります。

自動的に計算してくれるものではないので、対象の贈与財産があるときには、必ず申告するようにしましょう。

 

もし、すでに相続税の申告を済ませてしまっている場合でも、申告期限から5年以内であれば更正の請求が可能です。

 

贈与税控除の計算式

贈与税額控除の具体的な計算式は以下の通りです。

 

「贈与税額控除」=「贈与を受けた年の贈与税の金額」×「相続税の計算時に足し戻した贈与財産の価格」÷「贈与を受けた年の贈与財産の合計額」

 

暦年贈与の場合は、上記の計算式でさかのぼる7年間を年ごとに計算して算出します。

 

相続時精算課税の場合は、制度を選択した後に納めた全ての贈与税を差し引くことができることになっているため、期間の制限はありません。

 

 

相続前の生前贈与は2種類ある!改正になった部分を解説

贈与

贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税」があるとご説明しましたが、令和5年度の税制改正によって、いくつか大きな改正がありました。

 

この改正の中に「贈与税額控除」に大きく影響するものもありますので、詳しく解説します。

 

暦年贈与と相続時精算課税

「暦年贈与」は、正式には「暦年課税制度」と言い、年間110万円までであれば、贈与税・相続税ともに課税されることなく財産を移動できる方法。

 

贈与に関する申告も必要なく、人数制限、贈与対象者の制限もないことが特徴です。

 

そのため、毎年コツコツと財産を移動していきたい方や、贈与対象者が多い方などが使うことが多いです。

 

そして、年間110万円を超える金額に対して贈与税が課税されます。

この課税された贈与税が、贈与税額控除に関わってくる部分です。

 

「相続時精算課税」では、一時期に最大2,500万円までの金額を、贈与税がかからずに移動することができます。

 

事業継承などの目的で短期間に大きな金額を移動させたい方などに利用されることが多いです。

また、相続の際の評価額は贈与された時の価額となるため、将来値上がりが予想される土地などの不動産や、美術品などの財産を移動したい方に使われることもある方法です。

 

また、一度相続時精算課税を選択すると、暦年贈与には戻せない特徴があります。

そして、贈与税はかからないものの、相続時には贈与分も相続財産として相続税の支払いが必要となります。

 

相続時精算課税制度について詳しくは「相続時精算課税制度とは?メリットや注意点も交えて詳しく解説!」でも解説しています。

ぜひ、参考にしてください!

 

贈与税に関する法律の改正点

令和5年度の税制改正における、贈与税に関する改正のポイントは以下の通りです。

※令和6年1月1日以後に受けた贈与について適用されます

  • 暦年贈与を利用している場合の相続財産への加算期間が、3年から7年に延長された
  • 相続時精算課税制度に、年間110万円の基礎控除が創設された
  • 相続時精算課税制度で、土地の評価における災害などの被害相当額の控除が付加された

 

暦年贈与の改正点

贈与税額控除に関して大きく関わってくるのは、「暦年贈与」の相続財産への加算期間の延長という部分です。

 

この延長により、相続開始前7年間の贈与額が相続財産として足し戻され、相続税の課税対象となりました。

これは、贈与税額控除の計算も7年分行う必要があるということです。

 

また、延長された4〜7年前の期間の分には総額100万円の控除があります。

つまり、「暦年贈与」を利用していて「贈与税額控除」を申告する場合、これまで3年分を年ごとに計算すれば良かったところ7年分の計算が必要になることに加え、4~7年前の期間に関しては、総額100万円を引く計算をする必要があります。

 

計算が複雑になることが予想されるため、自分で計算するのが不安な方は、税理士などの専門家に相談するのも良いでしょう。

 

相続時精算課税制度の改正点

一方「相続時精算課税」を選択する場合は、これまで総額2,500万円を超える贈与に対して贈与税が課税されていたところ、年間110万円までの基礎控除も創設されました。

年間110万円までは、贈与税も相続税もかからずに財産を移動できるため、制度を選択しやすくなったといえます。

 

相続時精算課税制度の改正について詳しくは「令和5年税制改正された相続時精算課税制度をわかりやすくご紹介!」でも解説しています。

 

さらに、相続時精算課税制度を利用して土地を贈与した場合、その後の災害などによって被災して評価額が下がった際には、被害相当額が控除されることになったことも大きな改正でしょう。

 

例えば、生前贈与を行った2,500万円以上の土地が被災してしまった場合などには、被害相当額によっては、支払った贈与税が還付される可能性もあるからです。

 

不動産の生前贈与については「不動産を生前贈与するメリットや注意点、かかる税金もチェック!」でも詳しく解説しています。

ぜひ参考にしてください。

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他にもある?贈与税が控除される方法とは

ライフプラン

贈与に関しては「暦年贈与」「相続時精算課税」の2つが主な制度ですが、その他にもいくつかの非課税措置が定められています。

 

それぞれの方法を解説します。

 

結婚・子育て資金について

結婚・子育て資金の控除は「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」というのが正式名称です。

 

18歳以上50歳未満の方への贈与が、子や孫1人につき最大1,000万円まで贈与税が非課税となります。

ただし、婚礼・披露宴の費用や新居の住居費、また不妊治療費や妊娠中の通院・子どもの医療費・保育料などに利用することが条件です。

 

この制度は何度か改正が行われており、令和5年度の改正では適用期限が令和7年3月31日に延長されました。

 

教育資金について

教育資金に対する贈与の特例は正式には「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」といい、30歳未満の子や孫1人につき1,500万円まで贈与税が非課税となります。

例えば、進学に関わる費用(入学金、授業料、寮費、通学交通費、修学旅行代など)や留学費用、習い事の費用などです。

この特例は一括でも数度に分けても贈与できる上、すぐに使わない場合でも適用されるのが特徴です。

 

ただし利用できる教育機関には条件があり、学校以外の習い事などの費用に関してはこの内の500万円までしか認められていません。

 

この制度も何度も延長の改正が行われており、令和5年度の改正では適用期限が令和8年3月31日までとなっています。

 

住宅取得等資金について

親や祖父母から住宅のための資金提供を受けた場合に贈与税が非課税となる特例「住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置」もあります。

 

これは贈与される方ごとに、省エネ等住宅の場合で1,000万円、それ以外の住宅で500万円まで贈与税が非課税となる制度で、暦年贈与や相続時精算課税との併用も可能です。

 

ただし、住宅の条件だけでなく贈与を受ける人の年齢や所得など一定の条件があるので、利用する際には、確認すると良いでしょう。

 

令和4年度の税制改正によって適用期限が令和5年12月31日までに延長されています。

 

配偶者控除について

夫婦の間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除」という控除もあり、これは20年以上の婚姻期間があることや、不動産を取得するための資金であることを条件に、最大2,000万円まで贈与税が非課税となる制度です。

 

暦年贈与や相続時精算課税と併用して適用できます。

 

特定障害者に対する控除について

障害のある子どもを持つ親が、子どものために贈与する金額に対して非課税となる制度「特定障害者に対する贈与税の非課税措置」もあります。

 

受け取る子どもが特別障害者である場合は年間6,000万円、特別障害者以外であれば年間3,000万円まで、贈与税が非課税となります。

 

 

相続発生時には贈与税額控除もお忘れなく

今回は、相続発生時に税金を二重に支払うことがないように作られた「贈与税額控除」について解説しました。

 

「暦年贈与」や「相続時精算課税」を利用して、基礎控除額以上の贈与を行った場合に贈与税が課税されます。

 

どちらの制度にも相続が発生すると相続財産として足し戻される条件があり、一度税金を納めた財産も課税対象として計算されることになります。

このときに、支払った贈与税分を控除するための仕組みが「贈与税額控除」です。

 

贈与税には、このほかにも非課税措置があるので、上手に利用することで贈与税がかからずに財産を移動できます。

 

とはいえ「贈与税額控除」を含め、その他の非課税措置についても、自分から申告しなければ利用できません。

 

贈与のタイミングや相続が発生したときなどには、必ず利用できる制度を確認しましょう。

自身での手続きが不安な場合は、専門家に相談するのが良いですよ。

 

札幌市南区、北広島、恵庭で相続なども含めた不動産の売却について検討されている方は、八城地建にぜひ、ご相談ください。

ご相談は無料で承っています。
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