COLUMN不動産売却コラム

成年後見人が不動産売却を行う方法とは?手続きの流れも徹底解説

2022.12.27

こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の岩瀬です。

 

認知症などで判断能力が低下した人を保護するため、代理人を選出して法律行為を行う「成年後見人(せいねんこうけんにん)制度」。

 

親や親族の成年後見人となった人は、本人に代わって不動産売却もできますが、成年後見人になったからといって、いつでも自由に進められるわけではなく適切な手順を踏む必要があります。

 

そこで今回は、成年後見人が不動産売却を行う方法について徹底解説!

 

そもそも成年後見人制度とは何なのか、不動産売却をする際にはどんな書類が必要なのかもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

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成年後見人制度とは?

「成年後見人(せいねんこうけんにん)制度」とは、認知症などの病気によって判断能力が低下した人の代わりに、代理人がさまざまな契約を代行したり、不動産や資産を管理したり、医療費を支払ったりできる制度です。

 

判断能力を失った人が悪質な詐欺などに騙されないよう、保護することを目的としています。

 

成年後見人には2つの種類がある

成年後見人制度には「任意後見」と「法定後見」の2種類があり、それぞれ契約の結び方や後見の始まり方が異なります。

 

任意後見は、本人の判断能力が低下する前に後見人との間で契約を結び、実際に判断能力が低下してから契約が効力を発揮します。

 

「誰を後見人とするのか」「どの権限を後見人に付与するのか」など、本人の意思が反映されるのが任意後見の特徴です。

 

法定後見は、本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所によって後見人が選出され、後見が始まる制度です。

 

本人の判断能力の程度によって「後見人」「保佐人」「補助人」のいずれかが選出され、本人の利益や財産を守るための代理行為を任せられます。

なお、裁判所の審判への不服申立ては原則できません。

 

成年後見の申し立て方法

成年後見の申し立て方法は、以下のとおりです。

 

任意後見の場合

  1. 本人の意思で任意後見人を選出する
  2. 任意後見の契約内容を決定する
  3. 本人の判断能力が低下後、家庭裁判所に任意後見監督人の申し立てを行う
  4. 公正証書で契約を締結

 

任意後見人は本人が選出するため、誰を後見人とするかは基本的に決まりはありません。

 

ただし、未成年者や破産者、その他任意後見人としてふさわしくない理由がある人などに関しては、任意後見人になれないため注意が必要です。

 


法定後見の場合

  1. 本人の判断能力が低下後、家庭裁判所に法定後見人の申し立てを行う
  2. 家庭裁判所が法定後見人を選出する

 

家庭裁判所に申し立てを行えるのは配偶者や4親等内親族、市区町村長などに限られます。

 

申し立て時、後見人となる人を推薦することも可能ですが、必ずしも推薦された人が選出されるとは限らないことも理解しておきましょう。

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成年後見人が不動産売却を行う方法は?

成年後見人制度は本人に代わって後見人が財産の管理や売買、契約の締結などを行う制度のため、本人が保有している不動産を売却することも可能です。

 

しかし、後見人になったからといって自由に売却していいわけではなく、適切な手順を踏む必要があります。

 

また、不動産売却とひとことにいっても、居住用の不動産と非居住用の不動産では売却方法が異なります。

 

居住用不動産を売却する際には、家庭裁判所や成年後見監督人(後見人をサポートする立場として必要に応じて家庭裁判所が選出する人物で、弁護士が務めることが多い)の同意が必要になるため、注意しましょう。

 

居住用不動産にも関わらず、家庭裁判所や成年後見監督人の許可を得ずに売却した場合、その売買契約は無効になります。

 

買主に売却代金を返さなければいけなくなるほか、家庭裁判所の判断によって後見人を解任させられてしまう可能性もあるため気をつけましょう。

 

保有している不動産が居住用かどうかは、以下を参考に見分けてくださいね。

  • 現在住んでいる不動産(住民票の有無は関係ない)
  • 本人が施設に入所する前に住んでいた不動産
  • 本人が将来的に居住する可能性のある不動産

 

成年後見人が居住用の不動産売却をする手続き方法

居住用の不動産売却手続きの流れは、以下のとおりです。

  1. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  2. 売却活動を行う
  3. 買主と売買契約を結ぶ
  4. 管轄の家庭裁判所に申し立てを行う
  5. 家庭裁判所の許可を得たら買主から売却の代金を受け取る
  6. 買主に不動産を引き渡す

 

売買契約後に家庭裁判所への申請が必要なこと以外は、基本的には一般的な不動産売却の流れと同じです。

 

ただし、「売却の必要性がない」「本人や親族の意向に反している」「売却金額や契約条件が適切ではない」などの理由で、申請が却下される可能性も考えられます。

 

判断材料として不動産の売却金額も重要なため、査定は必ず行うようにしましょう。

査定の流れは「不動産査定はどんな方法で行う?価格の決まり方や流れ、注意点も確認!」でも解説してますので、ぜひ参考にしてくださいね。

 

また、家庭裁判所への申し立て時には以下の書類が必要になるため、売却活動をしながら準備することをおすすめします。

  • 居住用不動産処分許可の申請書
  • 不動産の全部事項証明書
  • 不動産の売買契約書(案)
  • 不動産の評価証明書
  • 不動産業者が作成した査定書
  • 成年後見監督人の意見書(成年後見監督人がいる場合)

 

ただし、家庭裁判所によっては必要書類が異なるケースもあるため、必ず事前に管轄の家庭裁判所に確認しましょう。

 

成年後見人が非居住用の不動産売却をする手続き方法

非居住用の不動産売却の流れは、通常の不動産売却と同じで以下のとおりです。

  1. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  2. 売却活動を行う
  3. 買主と売買契約を結ぶ
  4. 買主から売却金額を受け取る
  5. 買主に不動産を引き渡す

 

また、居住用不動産と違って家庭裁判所や成年後見監督人の許可は必要ありません。

 

しかし、非居住用不動産の場合でも不動産売却を行う正当な理由(「本人の生活費や医療費を捻出するため」など)が必要です。

 

正当な理由なくして売却してしまうと、売買契約が無効になったり、裁判所から後見人としてふさわしくないと判断されたりする可能性があります。

 

売却理由として適切かどうか自分で判断できない場合には、弁護士や不動産会社などの専門家に相談しましょう。

 

八城地建のホームページでは、実際の相談事例も公開していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

 

成年後見人による不動産売却の流れを理解して適切に売却を

認知症などで判断能力が低下した人に代わり、後見人となった人が財産の管理や売買などを行える「成年後見人制度」。

成年後見人となった人は、本人が保有する不動産売却も可能です。

 

成年後見人による不動産売却の流れは、売却予定の不動産が居住用か非居住用かで異なります。

 

居住用不動産の場合、買主から売却金額を受け取る前に家庭裁判所や後見監督人の許可が必要です。

一方、非居住用不動産に関しては許可は必要なく、売却の流れも一般的な不動産売却と変わりません。

 

居住用不動産にも関わらず許可を得ずに売却したり、非居住用の場合でも正当な理由なくして売却したりした場合、売買契約が無効になるだけでなく、後見人を解任させられてしまう可能性もあるため注意しましょう。

 

売却できるかどうか判断できない場合には、弁護士や不動産会社に相談してみてくださいね。

 

八城地建では、札幌市南区・北広島・恵庭の不動産売却の不動産売却のサポートをしております。

 

成年後見人の不動産売却もお手伝いいたしますので、お近くにお住まいの方はぜひ一度お問い合わせください!

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