COLUMN不動産売却コラム

不動産売買時の契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いも確認!

2022.07.24

こんにちは!不動産売買をサポートする八城地建の岩瀬です。

 

土地や不動産を売却する際、売主は買主に対しどこまで保証するのか。

もしくは保証しなくても良いのか。

これらについては、不動産売買契約書で「契約不適合責任」に関する条文が記載されています。

 

契約不適合責任とは、不動産売却時に不備や不良があった場合に売主が負う責任のことで、不動産売却において非常に重要な項目です。

 

売却後トラブルにならないためにも、しっかり理解しておくと安心です。

 

今回は不動産の売却を検討している方向けに、不動産の売買契約における「契約不適合責任」について解説します。

 

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)との違いや契約不適合責任が発生した場合の対応、不動産売却時に売主が注意しておくべき点についても解説しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

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不動産売買時の契約不適合責任とは?

「契約不適合責任」とは、不動産の売買契約を履行する中で「契約不適合」となった場合に売主が負うべき責任のことをいいます。

 

一般的に契約不適合となるのは、種類・品質・数・量などが契約内容と違うものを売却してると判断された場合。

不動産売却においては、主に「品質」について責任を問われるケースが多いです。

 

具体的には、雨漏りや水漏れ、屋根や外壁の破損、シロアリによる被害などが該当します。

建物以外にも土壌の汚染や埋設物があったり、土地の面積が契約内容と違っていたりした場合も、契約不適合と判断される可能性があります。

 

売却後にそういった瑕疵(かし ※法律上の欠点・欠陥のこと)があり「契約不適合責任」となった場合は、修繕を行う必要があったり、損害賠償責任が発生するケースもあり得ます。

 

瑕疵について双方で取り決めをし、書面に残すのが重要!

売主が契約不適合責任を問われるのは、契約内容と違うものを売却した時です。

 

しかし、「事前に買主に瑕疵について伝えていたのに、売却後に契約不適合責任を問われた」というケースも珍しくありません。

このケースの場合、物件の瑕疵について売買契約書には書かれていないということが多いです。

 

口頭での説明は言った言わない問題でトラブルになることもあります。

そのため、契約不適合責任を問われるリスクを少しでも減らすには、きちんと「売買契約書」に記載しておくことが重要です。

 

言い換えれば、売買契約書にしっかりと物件の瑕疵が記載していれば、責任を問われることはほとんどありません。

事前に把握している物件の瑕疵については、売買契約書に記載するようにしましょう。

 

 

契約不適合責任と瑕疵担保責任との違いは?

「契約不適合責任」と同じような意味で「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」という言葉が使われることがありますが、この2つの言葉の意味は若干異なります。

 

もともと瑕疵担保責任と呼ばれていた制度でしたが、2020年4月の民法改正によって「契約不適合責任」に変更され、それに伴い内容のブラッシュアップや整理・追加が行われています。

 

瑕疵担保責任は、隠れた瑕疵があった場合に売主が責任を負う制度でしたが、「隠れた瑕疵」という言葉は人によって認識が曖昧でわかりにくいことが問題となっていました。

 

そのため、瑕疵があるかないかも含めて「契約に適合しているかどうか」で責任の有無が判断されるようになりました。

つまり、売主が負う責任の範囲は「契約不適合責任」になってから拡大しているというわけです。

 

また、権利行使期間においても変更があります。

 

契約不適合責任と瑕疵担保責任との違いをまとめると下記の通りになります。

 

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契約不適合責任が発生したら?買主の権利も知っておこう

上の表でも紹介しましたが、瑕疵担保責任で買主が主張できる権利は「損害賠償」「契約解除」のみだったのに対し、契約不適合責任では「追完請求」「代金減額請求」も追加されています。

 

まず「損害賠償」「契約解除」について、先に簡単に説明しましょう。

 

「損害賠償」は契約不適合による損害があった場合に金銭の支払いを請求することができ、追完請求や代金減額請求をした上で、あわせて損害賠償請求を行うことができる権利です。

 

ただし、売主が故意に隠した不具合や売主の過失で生じた損害でない限り、請求をすることができないことも覚えておきましょう。

「契約解除」は、瑕疵部分の履行の催告をし、指定した期間内に売主の方で履行が行われない場合、解除をすることが可能になる権利です。
これを、「催告解除」と呼びます。

また、契約解除には「無催告解除」もあり、債務全て(または一部)の履行が不能であるときや、履行を拒絶する意思を明確に示され、残存する部分のみでは契約の目的を達することができないときなど、履行が期待できない・不可能な場合にも解除が可能です。

では、新しく追加された2つの権利について詳しく解説します。

 

追完請求

追完請求は、不動産の不備や不良が発覚した後に、改めてそれらが無い完全な状態を求めることができるという権利です。

つまり、追完請求とは買主から売主に「修繕してください」と請求することをいいます。

 

契約書に記載のない不備や不良があった場合に責任が求められることは解説しましたが、住むことを目的として売買契約が締結されているにも関わらず、住宅としての目的を果たしていない場合も、売主は責任を負わなければなりません。

 

一方、築年数が圧倒的に経っていたり空き家物件だったりする場合、経年劣化によるものと認められれば売主が責任を負わなくても良いケースもあります。

 

買主から追完請求を求められないようにするためには、売却前に物件の状態を正確に把握しておくようにしましょう。

 

代金減額請求

代金減額請求は、売買価格の減額を請求できるという権利です。

本来、契約不適合責任は追完請求で売主が負うことになりますが、売主が追完請求に応じない場合や、追完が不可能な場合には、代金減額請求を求めることができます。

 

つまり、追完請求によって売主が「修補しない」選択をした場合や、物理的に不備を「修補できない」場合に、「では物件の値段を減額してください」と買主が主張できるということです。

 

追完請求と同じく、築年数や経年劣化による不備・不良は、売主はこの責任を回避できるケースもあります。

 

 

不動産売買の契約不適合責任で売主が注意すべきポイント

土地や物件の売却・引き渡し後に不備や不良が発覚して、契約不適合責任を問われないようにするためには、売主が契約不適合責任について事前にきちんと理解しておくことが重要です。

 

また、契約不適合責任は任意規定なため、契約内容は売主と買主の間で決定することができます。

 

注意しておくべきポイントを詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

インスペクションを利用して不動産の状態を把握しておく

インスペクションとは、売買契約を結ぶ前に建物の現地調査を専門家に依頼することです。

住宅の基礎から土地の状態まで、不動産に何らかの問題が無いかを把握できるため、売却後に契約不適合責任に問われるリスクを減らすことが可能です。

 

また、インスペクションは物件や土地の価値を算出する役割も果たします。

現地調査によって不動産に不備がないことがわかれば、購入検討者に対する不動産価値のアピールにもなりますし、売却価格に影響することも考えられます。

 

不動産の売却で特に中古戸建の売却を検討しているのであれば、インスペクションの実施は行った方がトラブルも少なく買主も安心して購入することができます。

 

契約不適合責任の通知期間は契約締結時に決めておく

契約不適合責任の通知期間(買主が不適合を知ってから売主に通知する期間)を設定しておくことも重要です。

 

本来であれば1年以内と設定されており、買主が不動産の不備・不良を知ってから1年以内に売主に通知をすれば契約不適合責任が適用されることになります。

 

しかし、この通知期間は売主と買主両方の了承があれば自由に設定することができ、一般的には3ヶ月と定められることが多いです。

長期間契約不適合責任を求められることにならないためにも、売買契約締結時には通知期間をきちんと決めておくようにしてくださいね。

 

契約不適合責任を免責する特約を締結する

契約不適合責任は民法で定められている制度ですが、売買契約の際の契約書に特約や容認事項を設定・記載しておくことで、免責が可能です。

 

中古物件の場合は丁寧に使用していても、経年劣化によって水道設備や冷暖房などの設備に不備や不良が起こることも珍しくありませんよね。

 

設備の一つひとつに契約不適合責任を適用させてしまうと契約の進行自体が難しくなるため、売主の契約不適合責任を免責するような特約を締結することができるのです。

 

双方が納得した上で、売主が負う責任の内容を決めておくようにしましょう。

 

特約を締結することで、引き渡し後に契約不適合責任に関するトラブルを避けることにもつながりますよ。

 

 

不動産売却時には契約不適合責任を理解しておくことが大切

不動産売却時、買主不動産を引き渡した後に不備や不良が発覚すると「契約不適合責任」を求められることがあります。

 

契約不適合責任を問われるかどうかは、売買契約書への記載の有無が大きく関連してくるため、建物の不備や不良はきちんと記載するようにしましょう。

 

もし契約書に記載がなく契約不適合責任が認められると、買主から「損害賠償」「契約解除」「追完請求」「代金減額請求」などを求められることになります。

 

契約不適合責任を請求されないためには、インスペクションを活用して不動産の状態を把握し、契約時に契約不適合責任の通知期間を設定しておいたりすることも重要です。

特約によって契約不適合責任を免責することも可能ですので、チェックしておきましょう。

 

不動産の売買には多くの知識が必要ですので、少しでも不安があるという方は不動産会社に相談するのがおすすめです。

 

八城地建では、札幌市南区・北広島・恵庭の不動産売却の際の手続きをサポートしています。

お近くで不動産の売買を検討しているという方は、ぜひ一度お問い合わせください!

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